Classici giapponesi con furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
「そういって下されば……この上もありませんけれど……」
と病人は、天井に眼を投げながら、咳こんだ。ともかく病人のいうのには、人に話したら間違いなく、一笑されるであろうけれど、しかし自分だけには絶対に、笑うことも打ち消すこともできぬ、不思議きわまる出来事がある、というのであった。不思議というか恐ろしいというか? 病気になって以来まる二年間、こうして寝ていても一日として、その出来事は頭から離れぬ。
いいや、離れぬどころか! この半年ほどは、ほとんど四六時中……殊にこの頃は死期が迫ったとみえて、一時たりとも脳裏を去ったことのない、恐ろしい出来事がある、というのである。おそらく誰に聞かせても、こういう話を真実としては、受け取ってくれぬであろう。偶に、受け取ってくれる人があるとしても、おそらく顔色変えて逃げ出してしまうくらいが関の山であろう。事件の性質上、今日まで父母にもヒタ隠しにしていた話だというのであった。
それで今まで使いを出したり、看護婦に頼んで手紙を書いてもらったり……それがためにかえって、自分の意志も伝わらなかったが、先生ならばこういう話を聞いて下さっても、決して笑いもなさらなければ、逃げもなさらないで、きっと親身になって聞いて下さるに違いないという気がする。