Classici giapponesi con furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
まさか、こんなところで野宿しようとは思いませんから、昨日宿を出る時に拵えてもらった、昼の弁当の残りを詰め込んでいるばかり、疲れてもいますが第一、腹が空き切ってペコペコです。が、いよいよ目指す海岸へ出た喜びに、その辺の百日紅の手頃な枝を切って、洋杖なぞを削りながら足も軽やかに、山を降りていたのです。と、岩躑躅の一杯に咲き乱れた、そこの岩陰を曲った途端に、――もうそこは、山の麓になっていたのです。
突然ウーッ! と、地響きのするような猛烈な唸り声を立てて、小牛ほどもある真っ黒な猛犬に、襲い蒐られました。
「呀っ……コラ!」
とびっくりして、私は、持っている岩躑躅を投げ付けました。敵対すると思ったのでしょう、犬は項の毛を逆立てて、眼を瞋らせて、いよいよ獰猛な唸りを立てて、飛びかかって来ます。まだ私は、こんな恐ろしい犬を見たことがありません。小刀を投げ付け、洋杖で右に払い左に薙いで、必死に禦ぎましたが、犬はヒラリヒラリと躍り越えて、私は顔色を失いました。この時ばかりは、駄目だ! と、観念したのです。と、その途端、
「ペリッ! ペリッや、どうしたの? ペリッ!」