Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
」
「いや同時に射ったのだ。」
「貴所の矢は先に水鳥を立たしたことは基経氏も知っていられるはずだ。」
和泉の国人は激怒して一歩前に進んだ。津の人は太刀に手をふれて、対手の熱い粗い呼吸に噎せて叫んだ。
「ここを川下に行って射ち合おうではないか。ここを射つのだ。」
和泉の人は胸をたたいて叫んだ。
「きょうこそ美事になんじを討ち取って見せるぞ。」
「きょうこそ永いあいだの思いを知らしてくれる。」
「走れ。」
二人は同じことを叫びあうと、かねてしめし合わせてあったことのように、気狂いのようになって土手のうえを川下をめがけて馳り出した。さッきのかいつむりを射ち損ねた場所が期せずしてかれらの目標になっているようだった。
馳りながら津の国の人は周到に注意していった。
「基経殿に中にはいられると事難渋だ。遠くに急げ。」
「汝こそ遅れるな。」
二人は火がついたようになおも馳りながら、顔と顔とをすり合わせて叫んだ。
「きょうの日が待ち遠かったぞ。きょうを眼当に生きて来たのだ。」
「きょう汝を射たなかったら何時の日に汝を射つ時がある。」
津の人と、和泉の人は迥かに基経のいる処から遠ざかって行き、やっと橘の姿も見えるほどだった。