Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
その折にいただいた黄金もいまだにたいせつに所持いたしております。」
彼女は胸のうちで紀介さま、かくも、お心づくしを忝うしていながらいまごろになり気づいた心のぬかりをおゆるしあるように、と、よく細かいことに気づく紀介が、ここまで心をくだいて深い用意をしていてくれたかと、胸もとがこころよく緊ってくることを感じた。
「しかし出水もなく近い火の過ちもなかったかわりに、もう、お姿を拝むことがなくなりました。あのように健やかに亘らせていながら、あえなくなるとは、人のいのちの脆さがはかられませぬ。」
「それは何時ころのことでございましたろう。」
「昨年の春もやっと三月になったばかりの日にございます。あなた様には何ともわたくしめのことは、お仰せになりはしませんでしたか。」
「いいえ、少しも。」
彼女は思いあてていった。
「事あらば近い家をたずねて救いを乞われた方がよいとだけ、申していたようにおぼえております。」
「それはわたくしめの家を指してそう仰ったにちがいございません。ここからはお館が近うございますゆえそれに、お方様がお越しになられた夜はあかあかと灯びが、西にも東にも点れていたようにおぼえております。