Classici giapponesi con furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate
……孝之助は怒りを感じた、長廊下で会ったときの、八束の昂然とした態度が思いだされる。堕落の沼から救いあげられ、今やおのれの世を迎えつつある、という確信の上に居据わって、(さりげなく)借りた金のことなど口にするさまが、孝之助は鮮やかに想像されるのであった。
――これははっきりすべきときだ。
笠井の耳にもはいったとすれば、そして、八束の身分もいちおうおさまったのだから、こういう不愉快な点だけでも、話しておくべきだろう、孝之助はそう決心して云った。
「明日、下城のとき、笠井へ寄るから、そのじぶんにおまえもいっていて呉れ、そこでよく話すとしよう」
「ではやはり」杉乃は唇を歪めた、「――そういうことがあったのでございますね」
「いやそんなことはない、まるで事情が違うことだ」
こう答えて彼は顔をそむけた。
その翌日は下城が後れた。というのは、出仕するとすぐ家老に呼ばれ、勘定奉行に仰せつけられる、という旨を、伝えられたのである。家老は和達友三郎といって、ごく温厚な但しそれだけの人であったが、どうして急に、そんな仰せが出たか、自分でも見当がつかないというようすであった。