Classici giapponesi con furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Leggi 第二の接吻 (だいにのせっぷん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.960 caratteri · 247 schermate
夕食をすませた後も、時計の針は、容易に廻らなかった。一時間が、二時間も三時間ものように思われた。あんまり、時間がたたないので白山の坂上まで散歩にいった。近頃流行って来た薬屋兼業のカフェで、時節には早いアイスクリームを食べて帰って来ると、まだ八時三十分である。
九時をすぎると、彼は部屋に、じっとしていられなくなった。今夜こそ、自分が先にいって倭文子の来るのを待とう、その方が一分でも二分でも早く彼女に会えるわけだ。そう思って、彼は九時十分に書斎を出た。庭へ降りて見ると、夕暮から雲の多かった空は、すっかり密雲に閉されて月の所在さえわからなかった。しかし、人目を忍ぶものに、月夜よりも闇夜がよいことは、昔も今も変りがない。村川は、月のないのが気やすい気がした。
建物から、二十間も離れている四阿で、小さい灌木を避けながら歩いた。彼は、倭文子が来るまでは、三十分は待たなければならない。そう思って四阿に近づくと、意外、月のないため遠方からは見えなかったが、倭文子は昨夕と同じ姿勢で、ちゃんと腰かけているのである。
村川は、心が張りさけるように、緊張した。烈しい昂奮と情熱とで足がふらふらと震えて来た。