Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate

Aozora Bunko

下はパンツの代りに脛一面のお白粉を穿いた脚の先へ、仏蘭西型の踵の附いた浅黄色の絹の上靴を、その爪先を二艘の可愛い潜航艇の舳のように尖らしているのである。そう云えばこの女は脛ばかりでなく、殆ど全身へうすくお白粉を引くらしい。要は今朝も風呂から上ってそれだけの支度をするあいだ三十分以上も待っていなければならなかった。彼女自身に云わせれば母親の方に土耳古人の血が交っていると云うことで、その肌の色の白皙でないのを隠そうためにしているのだが、実を云うと要を最初に惹きつけたものはその何処やらに濁りを含んだ浅黒い皮膚のつやであった。「君、この女なら巴里へ行ったって相当に蹈めるぜ、こんな女が神戸あたりにうろついていようとは思わなかった」と、或る時彼に案内された仏蘭西がえりの友達は云った。その時分、―――と云うのは今から二三年まえ、要は日本人でありながら特別に出入りを許されていた横浜時代のよしみを思ってふとこの家を訪ねた折に、彼女は波蘭土の生れだと云って外の二人の女と一緒にシャンパンのふるまいにあずかるべく挨拶に出て来たのである。彼女はまだ、神戸へ来てから三月にはならないと云っていた。