Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.866 caratteri · 318 schermate
「そんな気楽な話じゃねえ、――河内屋の坊っちゃんが殺られた」
「何?」
「殺られたに違えねえ、今朝塀の外に冷たくなっていたんだ」
「行ってみよう、八」
平次は事件の重大さを嗅ぎ出した様子で、ガラッ八と一緒に宙を飛びました。
神田相生町まではほんの一と走り、一丁四方もあろうと思われる、河内屋の屋敷の中は、朝っぱらから大変な騒ぎです。
「あ、銭形の親分、ちょうどいいところへ来て下すった。孫が大変なことに――」
もう六十を越して、一粒種の孫の喜太郎を杖とも柱とも頼んでいた、老主人又兵衛の顔は、「悲しみの塑像」を見るように凄惨でした。
刻みの深い頬は捻じ切れそうに歪んで、泣かじと噛んだ唇はワナワナと顫えるのに、少し脹れた老の眼からは、際限もない涙が、後から後からと湧いてくるのです。
「とんだ事でしたな、旦那」
「私には殺されたものとしか思えませんが、馴れた親分の眼で見てやって下さい」
平次は静かに点頭いて、主人の導くままに奥へと進みました。多勢の雇人達は、恐ろしい不安に縮み上がって、障子の蔭から、縁側の隅から、それを見送っております。
「これを見て下さい、親分」
動哭と嗚咽と歔欷の中へ、平次と八五郎は分けて入りました。