Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.866 caratteri · 318 schermate
三
こんな折が滅多にあるものか」
「兄さん、そればかりはどうか」
「ならねえよ。疑いが手前に掛りそうだと思うなら、飛離れた遠方へ行って、亥刻(午後十時)前は本郷神田界隈に寄り付かねえ工夫をしろ」
「兄さん」
新吉の言葉や思惑などは、耳にも入れてくれる岩松ではありません。まだ三十を越したばかりですが、顔立も気性も、島の三年の苦役で、すっかり荒されて来たのです。
三
その晩、房五郎の娘、本郷小町といわれたお駒は、三組町の自分の家の、長火鉢の前で殺されておりました。
房五郎は評判のよくない男ですが、お駒は本郷切っての人気娘で、近いうちに、町内の酒屋、越後屋の次男の辰之助が持参付で入聟するという評判が立っていただけに、この殺しはその晩のうちに、町内中に聞えてしまったのです。
見付けたのは継母のお仙、ちょうど節分の晩で、明神様へお詣りして、夜店などを一と廻り見て、何心なく帰って来ると、長火鉢に凭れたまま、お駒はこと切れていたのです。
前髪を焦すような恰好で坐って、四方は血の海、後ろへ廻ってみると、鋭い切出しが、左貝殻骨の下へ、真っ直ぐに突っ立っていたのでした。
母のお仙と一緒に明神様から帰って来た定吉は、血を見ると有頂天になって騒ぐのを、お仙はどんなに骨を折って押え付けたことでしょう。