Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.866 caratteri · 318 schermate

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

「親分、あっしはもう癪にさわってさわって」

ガラッ八の八五郎は、いきなり銭形平次の前に、長い顎を漂わせます。

よく晴れた秋の日の朝、平次は所在なく雁首を爪繰りながらあまり上等でない五匁玉の煙草包をほぐしているのでした。

「何をブリブリしているんだ。腹の立て栄えのする面じゃないぜ、手前なんか」

一服吸い付けて、平次はしばらく薄紫色の煙をなつかしむ風情です。

「だって、これが癪にさわらなかった日にゃ、親分、生きているとは言えないぜ」

「大層思い込んでしまったんだね。その癪にさわるわけを言ってみな。誰が一体手前に三年前の割前勘定なんか催促したんだ」

平次はまだニヤリニヤリとしております。

「そんなんじゃねえ。割前なんか、払わねえことに決めているから、催促されたって驚くあっしじゃねえが」

「なるほど、気は確かだ」

「町内の蝦夷床へ入って、順番を待つうち、中で木枕に頭を当てて、ツイウトウトとしかけたと思うと、多勢立て込んだ客が、あっしが居るとも知らずに、とんでもねえ話を始めた――」

ガラッ八の癪の原因は、何か筋道が立ちそうな気がして、平次も少しばかり本気になります。