Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 142.597 caratteri · 289 schermate
「あ、早まってくれた」
平次はその前に坐ってしばらく黙祷を続けました。勝利の後のほろ苦い悲哀といったようなもの、――名匠が不本意な仕事を俗衆にヤンヤと言われる時のような、――言いようもない腹立たしさと交って、若く美しい娘の死を悼む気持が、異様に胸を騒がせるのでした。
「親分さん、ちょいと」
新造のお君が平次を呼びます。
「とんだ事で、御新造――」
「お春は可哀想ですが、このままにしておくと、乳母のお霜も生きていないかもわかりません。お霜に万一の事があると、勇太郎の継母の私も――」
お君は日頃から慎み深い、冷たい女でしたが、さすがに夫や世間の思惑にさいなまれて、万一の場合には死んでもしまい兼ねまじき顔色です。
「そんな事をなすっちゃいけません、坊っちゃんが生きてさえいるものなら、どんな事をしても捜して上げますよ」
平次もこう言うのが精一杯でした。
「生きていることは確かでございます」
「というと?」
「昨夜、坊やの着ていた着物の襟を剥がして、こんな手紙と一緒に店へ投り込んで行った者があります」
お君が取出したのは、鼻紙一枚へ、灰を溶いたような粗悪な墨で書いた、仮名書の手紙でした。