Classici giapponesi con furigana
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うんぜんだけ
雲仙岳
菊池 幽芳
Leggi 雲仙岳 (うんぜんだけ) di 菊池 幽芳 (きくちゆうほう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.192 caratteri · 43 schermate
見渡せば霞の海に紺青の眉のみ描く八十の島山
私がこの前普賢に上った時、雷雨に逢った事は既記したが、山雨まさに至らんとする前の普賢の印象も、長く忘るる事が出来ない。山上はただ濃霧の海で、数尺先はもう見えず、それでいて疾風が渡ると、魔術の杖を加えたように濃霧が部分的にサッとふき消されるその瞬間に、脚下の薊谷や、鬼神谷の大渓谷が、神秘の帷を引いたように、鮮明に一部分をあらわすのだ。それもただ文字通りの瞬間でかき消される。国見や妙見にはつつじが美しく咲いていたので、その美くしい色彩が、虚無の間に瞬間的に見えてはまた消えるその夢幻的な濃霧の遊戯を見ただけで、私は酬いられた気がした。
殊に私の立つ絶頂の岩壁に、クリーム色の深山石楠花が清らかに咲いていて、それがおぼろに霧に包まれ触れば消えもするかのようほの白く夢見るように咲いていた趣は、この世の花とも思われぬまでの、純潔さと神々しさをさえそこに点出したのである。この石楠花はどんなに私の心を惹きつけたであろう。少し絶頂を下った普賢の祠の大岩壁にも、この石楠花は一面に咲いていて、これも霧のまがいに隠見する風情は、下界のものにのぞかれるのを吝むかのように見えた。