Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Leggi 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.438 caratteri · 238 schermate

Aozora Bunko

それがあわただしく駈け出して来たので、大勢はまたびっくりしてその子細を訊きますと、ただいま御主人と奥座敷で話しているうちに、何か庭先でがさがさという音がきこえたので、なに心なく覗いてみると、二匹の大きい蟹が縁の下から這い出して、こっちへ向って鋏をあげた。それを一と目みると、御主人は気をうしなって倒れたというのです。

それは大変だと騒ぎ出して、またもや医師を呼びにやる。それからそれへといろいろの騒動が降って湧くので、どの人の魂も不安と恐怖とに強くおびやかされて、なんだか生きている空もないようになってしまいました。それは薄ら寒い秋の宵で、その時のことを考えると今でもぞっとすると、祖母は常々言っていました。

まったくそうだろうと思いやられます。増右衛門は医師の手当で再び正気に戻りましたが、一日のうちに二度も卒倒したのですから、医者はあとの養生が大切だと言い、本人も気分が悪いと言って、その後は半月ほども床に就いていました。

二匹の蟹はほんとうに姿をあらわしたのか、それとも増右衛門のおびえている眼に一種の幻影をみたのか、それは判りません。しかし本人ばかりでなく、野水も確かに見たというのです。