Classici giapponesi con furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Leggi 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.438 caratteri · 238 schermate
こうなると、船頭どもも見のがすわけにはいかない。一体なんのために毎日ここへ出てくるのかと、しばしば聞きただしたが、座頭はやはり寂しく笑っているばかりで、さらに要領を得るような返事をあたえなかった。しかし彼の目的は自然に覚られた。
奥州や日光の方面から来る旅びとはここから渡し船に乗ってゆく。江戸の方面から来る旅びとは栗橋から渡し船に乗り込んでここに着く。その乗り降りの旅人を座頭は一々に詮議しているのである。
「もし、このなかに野村彦右衛門というお人はおいでなされぬか。」
野村彦右衛門――侍らしい苗字であるが、そういう人はかつて通り合せないとみえて、どの人もみな答えずに行き過ぎてしまうのである。それでも座頭は毎日この渡し場にあらわれて、野村彦右衛門をたずねている。それが前にもいう通り、幾年という長い月日のあいだ一日もかかさないのであるから、誰でもその根気のよいのに驚かされずにはいられなかった。
「座頭さんは何でその人をたずねるのだ。」
こうした質問も船頭どもからしばしばくり返されたが、彼はただいつもの通り、笑っているばかりで、決してその口を開こうとはしなかった。