Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate

Aozora Bunko

と、お千絵は、怖ろしい紅蓮の炎を思いうかべて、うつろな眼で、古い歴史のある地底の部屋を眺めた。

「出られますよ!」

その時、お綱が弾んだ声で呼んだ。

みると、もう出入りができるほど、そこが切り破られてあった。

「さ、お千絵様――」手をのばして救い出した。たみは、火を放けるために後へ残って、反古や木屑や乱れ箱などを、手当り次第に、部屋の中ほどへ積み上げる。

だだッ広い闇の間を、お綱の持つ蝋の灯がユラユラと走りぬけた。

さっき、自分が墜ちこんだ所を、鏡の裏の下から仰ぐと、一丈あまりの高さであって、梯子のない二階同様、上がる術がないのである。

と、向うでは、残っているおたみが、

「お綱さんとやら、逃げる出口が見つかったら、いいと、声をかけて下さいましね、すぐに火を放けて、私もそこへ行きますから」

こう声をかけておいて、行燈の油壷をとりあげ、反古の上へタラタラと撒いていた。

「ま、待っていて下さいよ」

気ばかりは急いているが、お綱も少しうろたえた。

一丈余りの高さでは、飛びつかれる筈はなし、足をかける所もないので、さすがに思案がつきてしまった。

「分りましたかえ?」