Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「いるかい?」
と、少しはずんだ足どりで、お綱の家の門口を開けて入ると、
「おや、万吉さん――」
奥の長火鉢で、何か考えこんでいたらしいお綱が、猫板から肘を離して、いきいきとした万吉の顔色を見つめた。
「お綱、よろこんでくれ、やっと一方の目星がついた」
「そうですか、じゃああの晩、お千絵様を連れて行った者が誰だか、その見当がついたのですね?」
「なにさ、そのほうは残念ながら、まだ手懸りはねえんだが、いい按配に、弦之丞様の居所がやっと分った」
「あら法月さんの? ……」
お綱の顔に美しい赤味がさした。
年の暮の火難から、怖ろしいあの夜の出来ごと――倖いに、万吉に助けられて、この妻恋の家へ帰って正気づいたものの、お綱は今年ばかりは暮も元日も夢のように何も手がつかないのであった。
だが――今万吉の口からよろこばしい便りを聞いて、初めて、お綱の心と顔が、福寿草のように明るく笑った。
「まあ、それが本当なら、これで一つの苦労はとけたというもの……、早く弦之丞様にお目にかかって、何かの相談をしようじゃありませんか」
「――で、すぐにこれから、一月寺の支配所へ、訪ねて行こうと思うんだが……」