Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
戻った節にはお言伝いたしておく」
「じゃあ、またその頃に伺いますから……」二人は是非なくそこを出てきた。けれど、それは軽い失望にもあたらぬものであった。むしろ、久しぶりで、さまざまな話したいことを持って会うには、会うという楽しみと心のゆとりをつけておくに好ましい時間であった。
「これから妻恋の家へ帰って、また出なおすほどの間もねえから、そこらで飯でも食べて待ちあわせようじゃありませんか」
「そうだね……」とお綱もちょっと首をひねって、
「じゃあ、私の行きつけた家があるから、池の端まであるいてくれないか」
「江戸のことは他人任せがいい、どこへでもお供をしますよ」
「お供なんていわれちゃ気恥かしいけれど、やはり食べ物はあの辺がいいから……。それに、弦之丞様に会う前に、改めて私から、お前さんに頼んでおきたいこともあるし」
万吉の胸底へ、その言葉が強くひびいた。
あの時の約束をふんでくれ、そして弦之丞との恋をとりもってくれ――こう迫られるに違いない。
二人の姿は、まもなく、不忍の池を見晴らした蓮見茶屋に上がっていた。
日が暮れたら、もう一度弦之丞をたずねる筈なので、酔うまいと気を締めていながら、蓮見茶屋で二、三本の銚子をかえている間に、お綱もホンノリと耳を染め、万吉もポッと赤い顔色をしてきた。