Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「あっ! ――」不意をくッて、お綱は霜の欄干をツウ――と五尺ばかり辷った。きっとみると、もう八方は、黒々とかがんだ捕方の影。
「御用だッ!」
「御用ッ、御用ッ!」
続けざまに二、三人、銀磨きの光を射さして躍ってきた。飛びかかるが早いか、お綱の驚きのまも与えず、
「神妙にしろッ」
欄干の楯をもぎ離して、タタタタタと橋のまん中までひっ立ててくる。
「な、なにをするんだい!」
と癇走ったお綱の声に耳も貸さないで、いきなり頭巾に手をかけた一人が、
「しらを切ってもムダだ! てめえは女スリの見返りお綱、とうから立ち廻ってくるのを待っていたのだ」
力まかせに頭巾を引いた。
「あっ――」というと、夜目にもきわだつ凄艶な顔がむきだされて、頭巾に飛ばされた珊瑚の釵、お綱に、もうこれまでと思わせた。
「笑わせちゃいけないよ。番屋廻りの下ッ端に、見返りお綱が自由になって堪るものか」
肘をはずして、一人の捕手を勢いよく投げつけた。途端に、サッと持った匕首が、青い光流を描いて横に走った。
「うーむッ……」
血が飛んだ! お綱の白い手へもサッと返り血が散ってくる。
「うむ、上役人に手向いするか」