Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate

Aozora Bunko

引っさげ刀で銀五郎が、その後ろを浴びせに追いかけると、こなたに残っていた前の虚無僧は、静かに天蓋のふちを上げて、

「銀五郎、銀五郎」と呼びとめた。

「えっ?」不意に名を指されたいぶかしさに、思わずそこから振りかえると、

「そちに歯の立つ対手ではない。必ずとも追ってはならぬ」

「や? ……もし」と銀五郎、戻ってくるなり虚無僧の足もとへ片膝片手をつきながら、

「まず何よりは、今のお礼から申し上げなくっちゃなりません。したがこの私を、どうして銀五郎とご承知なのでございますか」

「知らいで何とするものか、こりゃ唐草……」軽く肩を叩いて、傍の庭石へ腰をおろし、久濶の声なつかしげに、

「そちにも、いろいろと世話をやかせたまま、一昨年江戸表より姿を消した法月弦之丞じゃ」

「ええっ!」弾かれたように寄りついて「法月様でございますッて? オオ、弦之丞様だ、弦之丞様だ!」飽かず面をジッとみつめ、嬉しいのか悲しいのか、しばらく言葉もないのである。

天蓋を払ったその人物、漆黒の髪を紫の紐でくくった切下げ、月のせいもあろうか色の白さは玲瓏といいたいくらい、それでいて眉から鼻すじは凛とした気性の象徴。