Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
小麦粉をよく水で練りあげ、袋に入れ揉むと白い水が出る、それを沈澱させたうえ、壺に入れて日蔭の土に壺の半分を埋めて貯える。表具とか屏風の裏打ち用には、そうして作った糊しか使わないし、壺の中でねかせる期間も二年から三年はかかった。
「さぶ、どうしたんだ」栄二は近よってゆきながら呼びかけた、「休みじゃあねえか、なにをしてるんだ、おまけにこんな裏なんかへ出たりしてさ、え」
さぶは答えもせず、振り向きもしなかった。栄二は彼の横顔が濡れているのを認めた。
「どうしたんだ」栄二は声を低めた、「なにかあったのか」
「なんでもねえ」さぶは首を振った、「なんでもねえんだよ」
「泣いてるじゃねえか」
「泣いてやしねえ」と云って、さぶは腕で眼のまわりをこすった、「捏ねをやってるときに、粉が眼にへえったんだ」
栄二はなお、さぶの横顔をみつめていたが、さぶは振り向こうとはしなかった。
「二人でどこかへいこうと思って、いそいで帰って来たんだが」と栄二が云った、「それを始めちゃったとするとだめだな」
揉み出しを始めれば、壺へ仕込むまで手は放せない。栄二はさぶと飲みにでも出て、おすえのことが話したかった。