Classici giapponesi con furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Leggi ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) di 永井 隆 (ながいたかし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.351 caratteri · 213 schermate
人生は墓までだ。そこへ押し流されるまでを面白おかしく暮らすが勝ちだ。飲め! 歌え! 踊れ! 遊べ! 若き青春の血の冷えぬうちに。私は私の肉体を尊敬しなかったから、これを汚して平気だった。なにか胸の中におさまらぬ波が立つのであったが、これを良心の叫びだなどというのは旧時代の思想だときめてしまった。科学万能の時代だ。実証主義の世の中だ。良心の幽霊なんか過去の忘却の中へ消え失せろ。老人どもがやかましくいう霊魂が実在するならば、さあ目の前に出してみせろ。青春の快楽をねたんでのたわごとではないか?
大学の二年から三年に上がる春の休みに母が脳溢血で急死した。私がまくらもとに駆けつけたときにはまだ息があって、じいっと私の顔を見つめたままこと切れた。その母の最後の目は私の思想をすっかりひっくり返してしまった。私を生み、私を育て、私を愛しつづけた母が、別れにのぞんで無言で私を見つめたその目は、お母さんは死んでも霊魂は隆ちゃんのそばにいついつまでもついているよ、とたしかに言った。霊魂を否定していた私がその目を見たとき、何の疑いもなく母の霊魂はある、その霊魂は肉体を離れ去るが、永遠に滅びないのだと直感した。