Classici giapponesi con furigana
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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
Leggi 三枚続 (さんまいつづき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 63.572 caratteri · 124 schermate
その帯をまだ結び果てなかったほどのことで、光起は今貴夫人を診察し了して、立身になり、片手を卓子につきながら、低声で何か命じて、学生にその筆を運ばしめていたが、ちょっと筆を留めて伺った顔に頷いて見せて、光起は衝と立直った時、ふと、帯をしているお夏を見て、
(済みましたか。)
(ええ、)と頷く。
(痛かったでしょう。)
(はあ、)と事もなげに、淡泊に答えたのである。
光起は微笑んで、
(貴女、母様のいうことを肯かないとまたできますよ。)
お夏は襟を啣えるようにして、差俯向いて、颯と顔を赧らめたが、何にもいわないで莞爾した。
愛吉は額を撫でた。
医学士の言葉とお夏の素振を、附添は嬉しそうに、
(お夏様、あれ御挨拶をなさいましな。)
(知らない、)と素気ないことをいって再び莞爾。
(先生、癬の治ります薬はありませんでしょうか。)と不意に言い出したのは件の貴夫人であった。
(打棄っておおきなさい、)と光起は言下に応ずる。
(でもあのこんなですから、)とさも世馴れた、人懐こいといったような調子で、光起に背を捻向けると、頸を伸して黒縮緬の羽織の裏、紅なるを片落しに背筋の斜に見ゆるまで、抜衣紋に辷らかした、肌の色の蒼白いのが、殊に干からびて、眉を造った、白粉の濃い、金縁の眼鏡に瞼の皺をかくした顔こそ若けれ、あらわに見ゆる筋骨は数四十である