Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんがいばんれいとう

三界万霊塔

久生 十蘭

Leggi 三界万霊塔 (さんがいばんれいとう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.716 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

競馬のないときは下宿のボロに寝っころがり、何年前かの実業之日本やダイヤモンドをひっくりかえし、誰々は千葉県の漁師の子で、小僧から叩きあげた立志伝中の人物だとか、日本屈指の大会社である鐘紡の社長の津田信吾は、ああ見えても貧乏人で、株主名簿のどん尻にかすかに名の載っているくらいだとか、鮎川義介が発明した日本水産の冷凍法は生きているうちに魚を冷凍するのがコツなので、あれは鉄を急に冷却すると分子がそのときのままの状態になっていることから思いついたんだ。われわれだって、頭の使いかたとチャンスによっては、アッというような大仕事だって出来ないわけはないなどと、蒼ずんだ顔で肩息をつきながら気焔をあげていた。

その思いは深尾もおなじことで、誰にたのまれたわけでもないけれども、いっぱしの成功をしなければ内地へ帰れないという意地のような結情があるが、さればといって、インテリともいわれる身が百姓にまで落ちこむ気はない。それにつけても気にかかるのは領海外の真珠貝採りのことで、最近、パラオくんだりからやってきて、他人の繩張りとスレスレのところで元手いらずの儲けをしていると聞くと、こちらの権利に属するものを眼の前で掠められているようで、いくら同胞でも忌々しくてたまらない。