Classici giapponesi con furigana
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さんがいばんれいとう
三界万霊塔
久生 十蘭
Leggi 三界万霊塔 (さんがいばんれいとう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.716 caratteri · 39 schermate
岩棚へ据えつけてきた。
戸田はあまりいい気になったむくいで、過去の罪の記憶に脅えて飛んできたが、山崎と対馬の伜が帰っていることなら、深尾はとっくに知っていた。山崎は小さく萎び、髪も薄くなり、襤褸にくるまった二十日鼠といったあわれなようすで、対馬の伜のほうは、びっくりするほど身丈が伸びたが、父親そっくりの一徹な顔に土埃と垢をつけ、救いようのない落伍者のタイプになりさがっていた。
「誰のせいでもない。どうせ駄目なやつらだったんだ」
なにか食べながら、濠端を歩いている二人のすがたを車の側窓からチラと眺め、「持てる者は与えられ、持たざるものは奪われん」という聖書かなにかの文句は、たしかに人生の真理をうがっていると、思わず苦笑をした。
戸田のあわてかたは例外だが、深尾にしても遠いむこうへ押しやっておいた過去の亡霊が、思いがけないころに舞い戻ってきたことに無関心だったわけではない。国外犯が時の問題として熱心にとりあげられている際だから、告発の告訴のとバタバタされれば、案外な怪我をするかもしれない。あらゆる場合を想定して、打つべき手は落ちなく打ち、いずれ山崎か対馬の伜か、どちらかがおしかけてくるのだろうと、どこから突いてきてもビクともしないだけの堅固な心も用意もした。