Classici giapponesi con furigana
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さんがいばんれいとう
三界万霊塔
久生 十蘭
Leggi 三界万霊塔 (さんがいばんれいとう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.716 caratteri · 39 schermate
「オールド・パーかネ。これはいい」
戸田はタンブラーへ四分の一ほどウイスキーを注ぐと、正確な間をおいて秩序立った飲みかたをはじめた。
「今日はなにか用だったのか」
「用といえば用、そうでないといえばそうでないことなんだがネ、こんど法務庁に、人権擁護局ってのが出来たことを知っているだろうネ」
「知っている」
「刑法の第三条に、国外犯で刑法に適用されるものが列記してある。告訴、告発を待って捜査し、起訴されれば日本の裁判所で裁判されることになっているが、法文だけで、そういう判例はまだなかった」
「それがどうした」
「どうしたという質問には答えにくいが、つまりだネ、そういうものが出来れば、これからは大いにそのほうの判例が出るだろうてえことなんだがネ」
「格別そうとも限るまい。そんなことをいうためにわざわざやってきたのか」
「そればかりでない。ともかくさ、戦争というものはふしぎなことをするもんだ。この戦に負けなければ、生涯、内地の風に吹かれるはずのないやつらが、否応なしにリバァテイで送りかえされてくるというんだから。クィーンスランドに抑留されていた木曜島のダイバーもいよいよ帰ってきた。