Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

Leggi 中谷宇吉郎集 第六巻 (「もくせい」ごうのなぞ) di 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.784 caratteri · 269 schermate

Aozora Bunko

温泉2

もう二十年以上も昔の話であるが、弟といっしょに、しばらくパリで暮したことがある。私は文部省の留学生であり、弟は考古学をやっていて、トロカデロの博物館から僅かばかりの手当をもらっているだけで、二人ともはなはだ貧乏であった。

それでなるだけ生活費のかからぬように暮す必要があった。自費洋行の画学生たちのように、自炊生活をするのがいちばん安いわけであって、それだと当時の金で、一ト月五十円ぐらいで暮せた。しかしそれでは勉強の邪魔になるので、けっきょくモンスーリ公園のはずれにあった、日仏学生会館に入ることにした。

ああいう会館は、生活には非常に便利で、かつ安あがりでもあって、その点は申し分がなかった。しかしなんとなく生活が殺風景になり、それに外国にしばらくいると、みな気分が荒んでくるので、とかく索莫たる感じが漂いがちであった。それで同宿の連中は、よくパリの繁華街のほうへ遊びに出かけたようであった。

しかしわれわれ二人は、金がないというのが主な理由で、だいたい神妙に、毎晩学生食堂でめしを食って、夜は本を読んでくらしていた。昨年学士院賞をもらった数学者のO君も私たちの仲間で、いつでも三人金魚の糞のようにつながって、別棟の食堂へ通ったものであった。