Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
言いながら土間におりた左膳は、みるみる顔いろを変えて、
「しかるに!」
と一段調子をはりあげた時は、もう自分とじぶんの激情を没して、一剣魔丹下左膳本然の鬼相をあらわしていた。
「おれに助力して坤竜を奪うと誓約しておきながら、なんだッ! 小婦の姿容に迷って友を売るとは? やい源十ッ、見さげはてたやつだなてめえはッ!」
咬みつくようにどなるにつれて左手の乾雲がカタカタカタと鍔をふるわす。
風、地に落ちてはちきれそうな沈黙。
土生仙之助、お藤、与吉ほか二、三の者は、端近く顔を並べて、戸口の敷居をまたいだままの源十郎と、それに一間のあいだをおいて真向い立っている左膳とを呼吸もつかず見くらべているのだった。
ふところ手の源十郎、一桁うえをいってくすりと笑った。
「丹下!」と低声。「貴様も、そう容易にいきりたつところを見ると、案外子供だなあ! おれは何も貴様のじゃまをしようと思って企らんだのではないのだ――」
「やかましいッ! だ、黙って、おれに斬らせてくれ貴様を!」
左膳、だしぬけに眼を細くしてうっとりとなった。怪刀の柄ざわりが、ぐんぐん胸をつきあげてきて、理非曲直は第二に、いまは生き血の香さえかげばいい丹下左膳、右頬の剣創をひきゆがめて白い唇が蛇鱗のようにわななく……。