Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
「わしはな、なんでもしっておる。長屋の夫婦喧嘩から老中機密の策動にいたるまで、この奉行の地獄耳に入らんということはない。な、そこで碁といこう。さ、一局参れ」
「うむ」
と、沈痛にうなずきはしたものの、泰軒は盤面を凝視したまま、いつまでも動かずにいた。
ふたたび無言の行――。
いつものこととはいえ、泰軒はいまさらのように畏友大岡忠相の博知周到に驚異と敬服の感をあらたにしておのずから頭のさがるのを禁じ得ないのだった。
古今東西を通じて判官の職にありし者、挙げて数うべからずといえども、八代吉宗の信を一身にあつめて、今この江戸南町奉行の重位を占めている忠相にまさる人物才幹はまたとなかったであろう……人を観るには人を要す。これ蒲生泰軒は切実にこう感じて、こころの底からなる恭敬の念にうたれたのだ。その畏怖の情に包まれて、さすがの放胆泰軒居士も、ついぞなく、いま身うごきがとれずにいる不動金縛り。
思わず固くなった巷の豪蒲生泰軒。
にこやかに温容をほころばせている大岡越前守忠相。
「いかがいたした蒲生。貴公、戦わずして旗をまく気か……さあ、来い。碁談の間にいい智恵の一つ二つ浮かぼうも知れぬというものじゃ。