Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
奇遇――といえば奇遇。
それはまことに思いがけない出会いであった。
無数の青蛾が羽をまじえて飛ぶと見える月明の夜半である。
ところはお山開きの賑いも去った深川富ヶ岡八幡の境内。
一道のひかりの帯が半闇に流れて、何か黄色い花のように、咲いたかと思うと閉じたとたんに……見あげ見おろした顔であった。
一度は、否、今まで、たがいに死をもって心中ひそかに慕いしたわれているお艶栄三郎である。
ただその恋情を、世の義理のためにまげているお艶と、男の意地、刀の手まえわれとわが胸底をいつわりおさえなければならぬ栄三郎と、世にかなしきはかかる恋であろう――。
最初、栄三郎は、変わり果てたお艶に大きなおどろきを覚えたのだったが、一面かれは、お艶のこんにちあるは前もって知れきっていたような気がして、すぐにその驚愕から立ちなおることができたけれど、それとともにお艶に対する新しい憐憫が湧然とこころをひたして、眼頭おのずから熱しきたるのを禁じ得なかった。
しかし、憤りはより大きかった。
ものもあろうに芸者なぞになりさがって、おのが恥のみならず拙者の顔にまで泥をぬりおる! と考えると栄三郎、お艶の真意を知らぬだけに、とっさの激情に青白く苦笑するよりほかなかった。