Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
、医者よ薬よとさわいだかいもなく、夢のようにこの世を去ったのであった。
あら浪の浮き世に取りのこされた母娘ふたり。涙にひたることも長くはゆるされなかった。明日からの生計の途が眼のまえにせまっている。老母おさよは、ちょうどその時下女を探していた本所法恩寺の旗本鈴川源十郎方へ、喜左衛門とかじ富が請人になって奉公に上がり、ひとりになったお艶のところへ喜左衛門が持ちこんできたのが、この三社前の水茶屋当り矢の出物であった。
武士の娘が茶屋女に――とは思ったが、それも時世時節でしかたがないとあきらめたお艶は、田原町の喜左衛門からこうして毎日三社前に通っているのである。
世話にくだけた風俗が、持って生まれた容姿をひとしお引き立たせて、まだ店も出してまもないのに、当り矢のお艶といえばもう浅草で知らないものはない。
世が世ならば……思うにつけはやればはやるほど気のふさぐお艶だった。
ところへ、また――。
人の親切ほどあてにならないものはない。
あれほど親身に親子の面倒を見てくれたかじ富が、それも今から思えば何かためにしようの肚だったらしいがこのごろ、その時どきに用立てた金を通算して、大枚五十両というものを矢のように催促してくるのである。