Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
胴のまにあったのをさっそく水へおろして、河風に裾をまかせた泰軒が、船宿の若い衆そこのけの艪さばきを見せているのだった。
「あんたはいい腕だ」
と栄三郎をかえりみて、
「よく伸びる剣だ。神変夢想久しく無沙汰をしておるが、根津あけぼのの里の小野塚老人、あれの手口にそっくりだな」
手拭をぬらして返り血をおとしていた栄三郎、思わず、
「おお! では鉄斎先生を御存じ――」
せきこんだ声も、風に取られて泰軒へ届かないらしく、
「しかし、あの隻腕の浪人者、きゃつはどうして荒い遣い手だて」
泰軒がつづける。
「あんたよりは殺気が強いしそれに左剣にねばりがある。まず相対では四分六、残念ながらあんたが四で先方が六じゃ。ははははは、いやよくいって相討ちかな――お! 見なさい。来おるぞ、来おるぞ!」
言われて、お米蔵の岸を望むと、左膳の乾雲丸であろう。指揮をくだす光身が暉々として夜陰に流れ、見るまに石垣を這いおりて、真っ黒にかたまり合った一艘の小舟が、艪音を風に運ばせて矢のように漕いでくる。
「来い、こい! こっちから打ちつけてもよいぞ」と哄笑した泰軒、上身をのめらせ、反らせ大きく艪を押し出した。