Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
――五、六年まえから疲れが出はじめた。
あたしが十一、二のころからだ、とおしのは思った。おしのは幼ないじぶんから、父と母とのあいだに寝かされていた。それは母の主張であったが、十一、二になってから、夜半に眼がさめたときなど、暗くしてある行燈の光で見ると、父の寝顔はすさまじいほど憔悴してい、死んでいるのではないか、とさえ思ったことが幾たびもあった。
――あのころからときどきこんなふうに見えたことがある。
これは死相などというものではない、おしのはそう思いながら、さりげなく父のほうへ近よってゆき、あまえた動作で、帳場格子へよりかかった。
「どうした」と喜兵衛が眼をあげた、「まだ寝なかったのか」
「今夜はなんだか淋しいのよ」おしのは小さく肩をゆすった、「お父つぁんが寝てくれなければ眠れそうもないの」
喜兵衛はそっと笑った、「有難いが、私は大丈夫だよ」
「あたし本当に淋しいのよ」
「わかってる」と喜兵衛はまた帳面に向かって筆を取った、「私は大丈夫だよ、自分の躯のことはよく知っているからね、もういって寝なくちゃあだめだよ」
そして徳次郎と読み合せを続けた。
おしのは諦めた。