Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate

Aozora Bunko

)

源五郎 なんにも居ないではないか。こいつめ、おれ達を嚇かしたな。

昭全 いいえ、どこかで芦の葉のがさがさ云う音がきこえた。

源五郎 芦の葉のがさ付くのは珍らしくない。大かた風の音だろう。はは、臆病な奴だ。なにしろ、いつまでもここにいても仕様がない。さあ、お妙さんはおれが途中まで送って遣ろう。

昭全 わたしを置去りにして、お妙さんだけを送って遣るのか。おまえも随分親切だな。

源五郎 ええ、やかましい。お前なぞは勝手に帰れ、帰れ。

昭全 おれが手柄をさせて遣ろうというのに、仇にすることがあるものか。貴様こそ狼に喰われてしまえ。

源五郎 なんだ。

昭全 いや、これはおまえの口真似だ。

(昭全は笑いながら、下のかたへ足早に立去る。)

お妙 まったくあんな小僧が色々なことを云い触らすので、わたし達のことも大抵世間へ知れてしまったような。

源五郎 狼の一件が片付いたら、いっそ兄さんに打明けて、表向きの夫婦にして貰おうではないか。

お妙 そうなれば嬉しいけれど……。

源五郎 いつまでも世間に気兼ねをしているのは詰まらないことだ。

(二人は睦まじく語らいながら、向うへ去る。水の音。下のかたの芦をかきわけて、おいよ忍び出で、二人のあとを見送る。