Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate

Aozora Bunko

わたくしが夜なかにふと眼をさましますと、表でわたくしの名を呼ぶような声がきこえます。不思議に思って窓をあけて見ますと、暗い表に人らしいものの忍んでいる様子もござりません。(その当時のありさまを思い出したように、眼を輝かしてあたりを見廻す。)よく聞くと、それは人の声ではなく、狼……狼の声でござりました。

モウロ 狼……。あなたはその声を聞いたばかりで、その姿を見ませんでしたか。

おいよ 姿はみえません、暗いなかで唯きこえるのは声ばかり……。それを聞いているうちに……。その時わたくしに魔がさしたのか、獣のたましいが乗憑ったのか、自分でも夢のように雨戸をあけて、ふらふらと表へ出ました。(立ちあがる。)どこかで狼の声がつづけて聞えます。それがわたくしを呼ぶように聞えるので……。

(おいよはふらふらと表へ出て行こうとするを、モウロと正吉は遮りながら押戻して腰をかけさせる。)

モウロ まあ、落付かなければいけません。それからあなたは何うしました。

おいよ もう其時には……。わたくしの心は狼のようになっていたのでござります。あても無しに往来へ迷って出て、近所の墓場へまいりまして……。