Classici giapponesi con furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate
」
被衣をするりと払って、かれは狭い竹縁にあがって、あるじの兼好法師とむかい合って淑やかに坐った。小さい庵室の中には調度らしいものはなんにも見えなかった。すすぼけた仏壇には一体の木彫りの如来が立っていて、南向きのあかり障子のきわに小机が一脚、その上には法華経一巻のほかに硯と筆二、三本、書き捨ての反古のようなものが三、四枚散らばっていた。
女の方で意外に感ずると同時に、あるじの方でもこの来客を意外に感じた。それが若い女であることは、逢わない前から大抵想像していたが、さて正面に向かい合って見ると、かれはいかにも闌けたる美しいおとめであった。年はようよう十七か八か、さして化粧をしているとも見えないのに、白く照り栄えたるおもてを少しく俯向かせて、鴉のように黒い髪をこのごろ流行る茶屋辻模様の練絹の小袖の肩にこぼしている姿は、然るべき公家か、武家の息女か、おそらく世に時めく武家の愛娘であろうと、兼好はひそかに判断した。
「初めて御意得申す。われらはあるじの兼好でござるよ。お身のような御仁がなんの用ばしござって尋ねられた。はは、ここは双ヶ岡じゃ、嵯峨野ではござらぬ。