Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate

Aozora Bunko

さてその心はと重ねて問いまいらそうすべもないので、唯おめおめと戻りました。」

重きが上の小夜衣――むかしは殿上人にも宮仕えしたという侍従が、これほどの歌の心を覚りかねたのであろうか。あるいはとうに覚っていながらも、父の怒りをおそれてわざと素知らぬ顔をよそおっているのであろうか。いずれにしても、もう考える余地はない。この恋は叶わぬものと小坂部はすぐにあきらめた。侍従も薄々はきょうの不首尾を覚っているらしく、かれは若い姫の慧しいひとみの光りを避けるように、小さくすぼめた膝の上に自分の眼を落としてしまった。

父はと見ると、師直は待ち佗びしげに又言った。

「小坂部どうじゃ、その返しの心は……。侍従にもよう解せぬと案じ悩んでいるが……。わしが思案では、重きが上の小夜衣――衣小袖を幾つか重ねて送れという謎かと見た。それならば最と安いこと。綾錦の装束なりとも七重八重かさねて仕立てさするは、十日か半月の間にもなることじゃ。但しはほかに子細のあることか。この謎を早速に判じておくりゃれ。」

正直に言おうか、言うまいか、小坂部は少し躊躇した。正直に言ってしまえば、さなきだに乱れかかっている父の心をいよいよ狂わせるばかりか、自分のためにも都合のよくないことが出来するのは見え透いている。