Classici giapponesi con furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate
阿香 それでもあんまり暗いわ。
(阿香は上のかたの一室に入る。柳は竃の下を焚きつけている。表はだんだんに薄明るくなる。下のかたよりこの家のあるじ李中行、五十歳前後、肉と菓子とを入れたる袋を両脇にかかえて出づ。)
李中行 そろそろお月様がおあがりなさると見えて、東の空が明るくなって来た。
柳 (窓から覗く。)お父さんかえ。
李中行 むむ。今帰ったよ。(正面の扉をあけて入る。)阿香はどうした。
柳 たった今、帰って来ましたよ。時に買い物は……。
李中行 (袋を卓の上に置く。)まあ、どうにか斯うにか買うだけの品は買い調えて来たが、むかしと違って、一年増しに何でも値段が高くなるにはびっくりするよ。月餅一つだって、うっかり買われやあしない。
柳 まったく私達の若い時のことを考えると、なんでも相場が高くなって、世の中は暮らしにくくなるばかりだ。それでもこうして生きている以上は、不断はどんなに倹約しても、お正月とか十五夜とかいう時だけは、まあ世間並のことをしないと気が済まないからね。
李中行 そうだ、そうだ。おれもそう思うから、見す見す高い物をこうして買い込んで来たのだ。阿香が帰っているなら、あれに手伝わせて早くお供え物を飾り付けたら好かろう。