Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate

Aozora Bunko

彼は時々に血に染みた指のさきをうまそうにしゃぶっていた。それが血の臭いを嗅ぎ馴れている采女にも不快の感をあたえた。

二人は顔をしかめながら彼のするのをそっと見ていると、男はそこらに落ちている枯枝を削って幾本の串をこしらえた。その串に肉を挿して、彼はあぶってくれと采女に渡したので、采女もうけ取って焚火の上にかざした。男はそれから麻袋の中へ手を入れて、麦か粟かを掬い出しているらしかったが、やがて舌打ちした。

「水がない。」

彼はそれを二人に聞けがしに言って、再びどこへか出て行った。そのうしろ姿が闇に消えるのを待ちかねたように、采女は持っている串を投げ出した。

「さあ、今の間にお越しなされませ。」

小坂部はすぐに起ち上がった。もとより方角も確かには判らなかったが、ともかくも真っ直ぐにゆくことにして、采女は先きに立って案内すると、小坂部も猶予せずにその後につづいた。二人は暗い沼の岸に沿うて十間あまりも歩んだかと思うと、采女は忽ちあっと叫んだ。岸の立木の下に一つの黒い影がたたずんでいて、それがかの眇目の男であるらしく思われたからであった。

「姫上ではござらぬか。