Classici giapponesi con furigana
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えせものがたり
似而非物語
山本 周五郎
Leggi 似而非物語 (えせものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.817 caratteri · 64 schermate
弥市は舌なめずりをした。
「また大先生にしたってよそから修業者が来るだで、そうそう黒門にばかりはいられねえのさ」
「その人はなんて名めえだってきいてるだ」
「名めえだって、名めえはちょうゐ斎っちゅうだ、飯篠ちょうゐ斎ってよ、天下にその名を知らねえ者はねえっちゅうこんだに」
「ふん、つまらねえ」
杢助は云った。
「そんな偉え人間が、なんでこんな山奥なんぞへ来ているだ」
「遁世して来さしっただって、云ったじゃねえかえ、世間があんまり先生さまだ、名人さまだって騒ぐし、お大名方はてんでに召抱えようとって血まなこになるし、御自分はもう年をとって、そんな俗なことにゃ飽き飽きしちまっただし、それでおめえ、この山ん中へ逃げてござったっちゅうこんだ」
「その人が自分でそう云っただかえ」
「しぜんにわかっただよ」
弥市が云った。
「どっかから武者修業がやって来て、これこれの大先生がござる筈だってよ、わからずにゃいねえだ、修業者はあとからあとから来るだし、米味噌は村からはこぶだしよ、そのうち黒門へ客にござるようになったで、すっかり詳しいことがわかっただに」
杢助はふんといって、きせるを放りだし、大きな欠伸をして仰のけになった。