Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

寄席の帰りにみつ豆や稲荷鮨をおごってくれたことも幾度かあった。

「今松つぁん、今松つぁん」

いつもそう親しげに呼んでくれては、姉のように高座や楽屋の注意をしてくれている。

助六のお神さんが富士松和佐之助といって、新内では女ながらも大看板なので、お艶は始終ここへ習いにきているのだけれど、今こうやって一心不乱に稽古の真っ最中、スーッと近くへきて座っていられると、さすがに妙なバツの悪さを感じないわけにはゆかなかった。

それにお艶ちゃん、いつもこけている頬がいっそうの痩せを見せ、顔色も悪い。元気もない。

今自分がソッと目で挨拶をしたときも、いつものように大きな美しい目で笑いかけてはくれず、寂しくうなずいたばかりだった。

ジーッと座っているなで肩のあたりが、ガックリ打ちのめされたように慄えている。

どうしたんだろうお艶ちゃん。

もしやなにか心配事でもあったんじゃ――。

すぐにも呼びかけて訊きたいけれど、稽古の二字が許さなかった。

「……エエとどこまでしゃべったっけかな、アアそうだあすこだ」

あわてて心のなかで自問自答して、

「……パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイの……」