Classici giapponesi con furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate
颯爽と時代の新風が乗合馬車そのものには吹き流れていた。そうしてそれは圓太郎のような男の胸にまでピチピチしたものを投げつけずにおかなかった。瞼が熱く痺れてくるような言いしれぬ興奮だった。感激だった。
そうだ。来月看板をあげたら、俺は高座で、本物の喇叭を吹いてこの乗合馬車の馭者の物真似をしてやろう。そうしてこんなにも開化した日本の美しい姿を、せめて俺も自分相応の芸のなかで祝福しよう。途端に圓太郎は右手で鞭を打ち鳴らすかっこうをし、左手を喇叭のつもりで口へ当てた。一見、馭者になっていた。やがてラッパの圓太郎と謳われて一世を風靡し、昭和の今日まで圓太郎馬車の名を遺すにいたったも宜なるかな。
プープープーと喇叭の音を口でやりながら圓太郎は、間もなく群がる人波を押し分けかき分け、
「お婆さんお婆さん、危いよ」
と代地のほうへ駆け出していた。
あとからお八重が美しく上気しながら、夜霧のなかを同じように駆け出していた。