Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate
元治元年、圓朝二十六歳の夏だった。
「アラ葛ざくらなんか。じゃ、こっちの有信亭の共白髪のほうがオツでさあね。ね、ほら、アーンと口をお開きなさいよ」
いっぱいの幸福感を顔中に漲らせて、お絲は、風雅な朱塗りの箸で名代の共白髪をはさみかけたが、
「おっとっと、お絲、それにゃおよばねえて」
また、その白い手を押さえて圓朝は、
「あっしは親代々の落語家だ。――こんな品ものよりも、小大橋辺りの腰掛けで惣菜物でも食べるほうが柄だろうて」
「……まあ、おッ師匠さんは、なんで今夜はそんなキザばかり言うんだろうね。あたしのお気に召さないところは、あけりゃんこにぶちまけて、叱ってくださればよいものを、ええもう、じれったいったら」
やっぱり幸福感をたたえた顔のまんまいざり寄ってきて、男のやさしい撫で肩へ手をかけようとしたとき、
「しッ、しずかにしろイ。お前に怒っているんじゃねえ。見ろイ、向こうの船にゃあ、敵役がいらあな」
圓朝はそれを振り払い、豪奢な煙管で一重帯ほどの水を隔てた向こうの船を指さした。
筋向こうの屋根船には、当時の落語家番付で勧進元の貫禄を示している初代春風亭柳枝が、でっぷりとした赤ら顔を提灯の灯でよけい真っ赤に光らせながら門人の柳条、柳橋を従え、にがにがしくこちらを見守っていた。