Classici giapponesi con furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate
「いい加減にしなよ」
いよいよ柳美館あきれかえって、
「どこの世界に、そんなまぬけな講釈があるかい。よしなよしな。とても駄目だなお前に講釈は。幾日でも置いていてやるから、裏の井戸の水汲みでもしな。でなきゃ裏山の蜜柑畑へ毎日肥料でもやりに……」
「勘弁してくださいよ、肥取屋さんの手間取りなんざあ」
さすがに情なさそうな顔をした。
「だってお前みすみす講釈ができなけりゃ」
「できます、できますよ」
「なにができる?」
「小夜衣」
「なに」
「小夜衣でさあ。あのホラ、花魁のお化けになるやつ」
「オイほんとかいオイ。ソそんな大物が、できるのかいお前に」
「柳条さんの聞き覚えが二、三席あるんで。巧くはできないけれど、あれならなんとかごまかしくらいは」
「なぜそんないいものがあるんなら、早く言わないんだ。いい、いい、小夜衣。素晴らしいや。そいつと決めよう。じゃさっそくビラを書いて貼り出すぜ」
気の早い柳美館の旦那は手を叩いて女中に言いつけると、最前の背の高い女中がすぐ半紙を三枚貼って長くした即席のビラと硯箱とを持ってきた。
『講談 古今亭今松 明晩夕刻より大広間にて』
道楽者の旦那は寄席の看板にあるようなビラ辰まがいの勘亭流に似た太い字で、スラスラとこう書き流した。