Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

「オ。オイこの先生ア美味えぜ」

と、どうだろう、そのとたんに例の鉄火な口の聞き方をする旦那が、もの静かな旦那のほうを顧みて聞えよがしにこう言った。

「ア、そうですね、こりゃいい先生にぶつかった。ずいぶん愉しませてもらえますね、今夜は」

相槌を打ってもの静かな旦那がうなずいた。

「先生、小夜衣を願いまァす」

細い声で通人のような旦那が、声を掛けた。

「ありがたい幸せで」

ほんとうにありがたかった。こう言ってもらうと、どんなに噺がやりよくなることだろう。

心から今松はお辞儀をして、

「ではお好みによりまして、吉原怪談小夜衣草紙、手振り坊主の一席を」

「待ってました」

またこう鉄火が、浴びせてくれた。

「さて天明二年二月二十九日、朝からの雨空で、今にも降り出しそう、血の道の強い婦人は目のふちが重いといういやな天気。二世と誓った浜田の源次郎が心変わりと知った朝日丸屋の小夜衣花魁、『若旦那と二人の仲は、この五丁町誰知らぬ者もなく。ひとしきりは太夫衆や芸者衆の端唄にまで歌われたくらいの仲、それを丸屋の小夜衣は客に飽きられ、わずかの金で大事の客を棄ててしまった。これが仲之町を張る遊女の見識かと言われたらなんとしましょう。