Classici giapponesi con furigana
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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
Leggi 堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (だらくろん(ぞくだらくろん)) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.198 caratteri · 171 schermate
私の頭に多彩な想念が逞しく生起し、構成され、それはすでに頭の中で文章の形にととのえられている。私は机に向う。私はただ書く機械でさえあれば、想念は容易に紙上の文章となって再現される筈なのである。が、実際はそう簡単には運んでくれない。
私の想念は電光の如く流れ走っているのに、私の書く文字はたどたどしく遅い。私が一字ずつ文字に突当っているうちに、想念は停滞し、戸惑いし、とみに生気を失って、ある時は消え去せたりする。また、文字のために限定されて、その逞しい流動力を喪失したり、全然別な方向へ動いたりする。こうして、私は想念の中で多彩な言葉や文章をもっていたにも拘らず、紙上ではその十分の一の幅しかない言葉や文章や、もどかしいほど意味のかけ離れた文章を持つことになる。
この嘆息は文章を業とする人ばかりでなく、手紙や日記を書く人も、多かれ少かれ常に経験していることに相違ない。
私は思った。想念は電光の如く流れている。又、私達が物を読むにも、走るが如く読むことができる。ただ書くことが遅いのである。書く能力が遅速なのではなく、書く方法が速力的でないのである。
もしも私の筆力が走るが如き速力を持ち、想念を渋滞なく捉えることができたなら、どうだろう。