Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

Leggi 堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (だらくろん(ぞくだらくろん)) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.198 caratteri · 171 schermate

Aozora Bunko

七月十六日

自然に、どうしてもそっちの方へどんどん行ってしまう。

私は筆を休めるたび、あなたを思いだすと、とても苦しい。素子の肉体は、どうしても、汚い肉慾の肉体になってしまう。素子は女体の汚さ、もろさ、弱さ、みにくさを知りすぎているので、客間で語る言葉にならないのではないか、と書いて、筆を投げだしたとき、私はあなたの顔をせつなく思いつづけていた。あなたは時々、横を向いて、黙ってしまうことがあった。あのとき、あなたは何を考えていたのですか。

素子は矢田津世子ではいけない。素子は素子でなければいけない。素子は素子だ。どうしても、私は、それを、信じなければならない。私は四枚書いた。筆を投げだしてしまう時間の方が多いのだ。

七月十六日(晴)

酷熱。うちの水銀は、三十五度だ。中央公論の海老原氏から速達。火の会の雑誌に小説かエッセーを書いて、という。これはどうしても承諾してやりたい。ずいぶん無理だと思ったけれども、必ず、書こうと決意する。海老原氏は昔から私の仕事を愛してくれた人なので、私はそういう人のために、仕事をすることを喜びとしているのである。売れそうもない雑誌だと、尚さら、書いてやりたい。