Classici giapponesi con furigana
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Leggi 夏の花・心願の国 (なつのはな) di 原 民喜 (はらたみき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.816 caratteri · 310 schermate
光線の反射かと思ったが、日陰を歩いて行っても、時々光るものは目に映じた。それから夕暮になっても、夜になっても、どうかする度に光るものがチラついた。これはあまりおびただしい焔を見た所為であろうか、それとも頭上に一撃を受けたためであろうか。あの朝、私は便所にいたので、皆が見たという光線は見なかったし、いきなり暗黒が滑り墜ち、頭を何かで撲りつけられたのだ。左側の眼蓋の上に出血があったが、殆ど無疵といっていい位、怪我は軽かった。あの時の驚愕がやはり神経に響いているのであろうか、しかし、驚愕とも云えない位、あれはほんの数秒間の出来事であったのだ。
私はひどい下痢に悩まされだした。夕刻から荒れ模様になっていた空が、夜になると、ひどい風雨となった。稲田の上を飛散る風の唸りが、電燈の点かない二階にいてはっきりと聞える。家が吹飛ばされるかもしれないというので、階下にいる次兄達や妹は母屋の方へ避難して行った。私はひとり二階に寝て、風の音をうとうとと聞いた。家が崩れる迄には、雨戸が飛び、瓦が散るだろう、みんなあの異常な体験のため神経過敏になっているようであった。時たま風がぴったり歇むと、蛙の啼声が耳についた。