Classici giapponesi con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate
植え込みの枝や葉をくぐって、横ざしにさしている日の光が、かすかの顫えを持ちながら一瞬間には右へ傾き次の瞬間には左へよじれる二本の太刀の刀身を、氷柱のように輝かせている。
二人は押し合っているのである。
呼吸が合して離れたならば、二合目の太刀が合わされるであろう、どっちか一人の呼吸が乱れて、もしも構えが崩れたならば、離れた刹那に切られるであろう。
今はひたすらに押し合っているが、紋也は考えた。「師匠の屋敷の玄関先を、血で穢しては申し訳がない。悪い悪い。場所が悪い」
こういう場合にこれだけのことを、ハッキリ考えたということは心に余裕のある証拠であった。
「憎い桃ノ井兵馬であるが、斬って捨ててはこちらの身もあぶない。捕えられて咎めを受けるであろう。それに俺には志がある。兵馬ごときはどうでもよい。討つのは危険で討たれるのはいやだ。どうぞして難関をくぐりぬけたいものだ。それにしても思ったより手強い敵だ、天道流だな、太刀捌きでわかる」
考えがグルグルと渦を巻く。
と、その時遠々しくはあったが裏庭のほうから酔いしれているらしい、嘉門のうた声が聞こえて来た。どうやら泉水の岸の辺をめぐって、謡って彷徨っているらしい。