Classici giapponesi con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate
で、付近の幾軒かでは、表戸をあけてのぞいたり、屋根の上へ昇って見たようであったが、大川をへだてた両国の地点が、火元であると知ったからか、まもなく人影は消えてしまった。擦半が鳴って寺の鐘が鳴って、火消しのはせて行く足の音なども、聞こえて来たことは来たけれども、この佐久間町の往来ばかりは、ただに寂しくて人通りもなかった。このことは美作と兵馬にとっては、好都合のことではあったけれども、小次郎にとっては不幸であった。もしも人通りがあったならば、美作も兵馬も気を兼ねて、小次郎を討つことを控えたであろうから。
と、一つの黒い形が、ムックリと地上から持ち上がった。小次郎が辛うじて立ち上がったのである。と、一つの黒い形が、すぐに地上へくず折れた。小次郎が膝を突いたのである。と、同じ黒い一つの形がズルズルと地上を這って行った。小次郎が地を這ったのである。と、這っていた小次郎であったが、反射的に何物かを感じたらしい、グイと顔を上向けた。と、その顔を見下ろしながら、頭巾をかぶった威厳のある武士が、今にも斬り下ろそう構えの下に、刀の柄へ手をかけていた。
「ハーッ」と小次郎は気を呑んだ、恐怖が昂ずると夢中になる。