Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate

Aozora Bunko

で、やるまいと争っているうちに、宏大な屋敷の門の扉を、その小男が親しそうに、叩いた上で人を呼んだ。すると門内から返事があった。で、嘉門は驚いてしまった。

「では、この小男と屋敷の人とは、連絡のある一味なのか。では屋敷から人が出て来て、小男に加勢をした上で、俺を襲って二つの品物を奪い取るに相違ない。これはこうしてはいられない。逃げて行かなければならないだろう」――で、嘉門は逃げかけたが、「俺の酔っているこの足で、逃げたところで、逃げおおせられまい。それよりもどこかへ身を隠して、急場のしのぎをしたほうがいい」――不意に嘉門にはこう思われたので、素早く四辺へ眼を配った。と、眼についたのは四軒の空家で西北のはずれの一軒が、最も間近に立っていた。そこはお狂言師の身も軽く門の一所へ手を掛けると、塀を越して空家の庭へ下り、外のようすをうかがった。すると宏大な屋敷からは、人数の出て来るようすもなく例の小男一人だけが、佐久間町の往来を西北のほうへ、空家の前を駆け抜けて、走って行ったのを聞き知った。

「やれ有難い、これでのがれた」――こう思いながらも泉嘉門は、なおしばらくようすをうかがったが、依然として宏大な屋敷からは、人の出て来る気配もなく、また走って行った小男の、帰って来る気配もなかったので、「急いで家へ帰るとしよう」